その村で、常識は狂気へと変わる――。
19 年に一度の秘祭が、彼女たちを「倖せ」な地獄へ誘う。
「地域文化研究部」に所属する天野川瑠里は、親友である四ノ宮いのりの誘いを受け、
サークルメンバーと共に彼女の故郷「紫幻村(しげんむら)」の夏合宿に参加する。
そこは、地図にも載らず、携帯の電波も届かない陸の孤島。
村ではちょうど 19 年に一度だけ開催されるという幻の大祭、
『紫幻華ノ祭礼(しげんかのさいれい)』が行われようとしていた。
「この村では、倖せは皆で分かち合うものなのです」
村人たちの異様なまでの親切さと、どこか常軌を逸した倫理観。
村中に焚き染められた、甘く脳を痺れさせる「紫幻華(しげんか」の香り。
そして、夜ごと行われる、笑い面をつけた男たちによる冒涜的な儀式。
取材を進めるうち、瑠里たちは村の狂った掟に飲み込まれていく。
拒絶していたはずの心は甘い香りに溶かされ、やがて彼女たちは自ら「倖せ」を乞うようになる……。
逃げ場のない山奥で、少女たちが選ぶのは抵抗か、それとも堕落か。
秘祭の夜、隠された村の深い『闇』が、彼女たちを嗤う。